手入れの仕方

台杉職人の第一人者といわれる藤田利幸氏がおくる 「台杉の手入れ方法」です。
台杉の部位

枝打ち・払い枝・抜き枝

枝打ち
道具は「枝打ち鎌」または「ナタ」、高いところの枝を打つために「脚立」または「梯子」を使用する。
立ち木の軸面に沿って枝の付け根に鎌をあてがい、左手(右利きの方の場合)で枝をにぎり、枝をしおらせながらタイミング良く切る。
ポイントは、切り口が枝の軸面より高くならないようにすることである。もし高くなれば軸面に沿って修正する。
また、枝打ちは立ち木一本ずつ行う。持ち枝の半分または3分の2程度を、全体のバランスを考えながら打っていく。一番長い立ち木ほど多く枝を取り、二、三と低くなるにつれ徐々に取る枝を少なくしていく。
止め枝の位置は、バランスをとりながら枝打ちをし、止めたい位置の一番しっかりした枝の部分を目安にする。
払い枝
止め枝より上に残った枝の中から、特に力強い茎枝や立ち木を、枝先から10〜15cm程度のところから切除する。これはバランスの良い立ち木をつくるためや、垂木をまっすぐに伸ばすためのポイントである。
抜き枝
立ち木は、幹の中心にできるだけ近いところに立てる。できるだけ交互に立て、全体の本数は幹回り約50cmの木で3〜5本が適当。
立ち木の長さは幹とのバランスを考え、長くなれば適当な高さで切除し、新しい立ち木を育てるようにする。新しい立ち木は成長が良く伸びが早いので、新木の先が上の立ち木に入ることがあるが、その時は上の立ち木を抜き枝してやる。抜き枝することにより、新しい立ち木は軸がまっすぐに伸びる。

取り木の剪定

次に「剪定バサミ」または「枝打ち鎌」を使って、取り木の剪定をする。
それぞれの枝を、手を広げた様に平たく薄く仕上げることにより、取り木内の蒸せ枯れを防ぎ、また、日光が全体に良く当たるようになるため良く茂り、取り木全体が強くなり、害虫もつきにくくなる。
剪定の仕方は、剪定バサミを使い、芽を丁寧に切除していく。また、枝が重なり合っているところは一枚に薄く仕上げる。
ポイントは取り木先の葺き芽を、必要が無い限りできるだけ切除する事。これにより、取り木の根本や全体に養分がいき、台杉をいつまでも良い状態に保て、いつでも立ち木を立てることができる。
注意点は、取り木先の芽を伸ばし立ち木にはしないこと!!
取り木の根本から徐々に芽がでなくなり、形が崩れ、新しい立ち木もできなくなる。

施肥、薬剤撒布

施肥
北山台杉は通常「寒肥」でおこなう。
年一回、1月〜2月に肥料を与える。台杉は肥料を好み、肥料が少ないと芽が茶褐色になる場合がある。肥料には、油かすや鶏糞、または庭園用打ち込み肥料等を用い、木の周囲三カ所ほどに埋めてやる。
薬剤撒布
台杉は地域により赤枯れ病等の病気や、ダニ、毛虫等の害虫がつきやすいため、年に1〜2回、季節に関係なく薬剤撒布してやる。また、病気や害虫は地域により異なるため、イソキサチオン剤等、その地域によった薬剤を選ぶこと。

北山杉

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